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猫との出会い

2016年8月22日

私 石黒は猫が好きです。

今までたくさんの猫に出会ってきましたが、

今日はその中で特に印象に残っている猫について少しお話したいと思います。

 

5年前の11月、秋雨の煙る夜中に自宅近くのコンビニへ行った帰り、

自宅前の会社の駐車場に猫が入っていくのを見かけました。

「雨に濡れながら餌探しも大変だな…」なんて思ってその猫を見ていましたが、

あまりに冷たい雨の中で、その猫が可哀そうになってしまい、

その時すでに飼っていたペットのキャットフードを取りに自宅に戻り、

駐車場の車の下にいたその猫のために、キャットフードを置いて去りました。

 

後刻、駐車場にお皿を回収しに行くと、綺麗にフードが無くなっていたので、

数日でも凌いでくれたら、と思っていました。

すると翌日、今度は私の自宅の駐車場でその猫とまた会うことができました。

うちの猫とは比較できないほどの小さい猫なので、「チビ」と名付けることにしました。

それからチビは毎晩我が家にやってきて、お皿を持つ私の手をひっかいて「早くよこせ」と催促してきます。

「さすが野良猫!」と微笑みながら、チビとの付き合いが始まりました。

 

そして、寒い冬を超え温かい春の日が近づいたある日、

早朝に自宅駐車場の車に用事があって行くと、チビがいたのです。

チビはいつも夜にやってくるのですが、せっかく会えたのでキャットフードを取りに戻り、

いつものように餌を食べる姿を見つめていました。

駐車場の用事が済み自宅に戻ろうとしたところ、

チビが私の後をついてきて、家の中に入るまでずっと私を見ていたのです。

どうしたのだろうと思いつつ、その時は「猫は気紛れだからな」と気にも留めませんでした。

 

すると、大雪の時も欠かさず来ていたチビが、その夜から来なくなってしまったのです。

来なくなってからも毎晩キャットフードを持って駐車場で待っていましたが、

会うことができませんでした。

 

それから月日は流れ、ある春の朝にふと、チビと最後に会った日のことを思い出しました。

野良猫なので、縄張り替えでここより条件の良いどこか違う所に行く前に、

ひょっとしたら私の所によって挨拶してくれたのかな?と思いました。

大したキャットフードではなかったけれど、色々と栄養のことを考えて食べさせたつもりでした。

急な別れで残念だったのですが、チビが旅立つ前に私に会いにきてくれたのなら、

本当に嬉しいなと思いました。

 

それ以降この5年間、チビは帰ってきません。

きっと新しい所で元気にしていると思います。

 

この体験から、相手を思いやる気持ちや感謝の気持ちを忘れないよう、

日々の出会いをより大切にしていくことを、心がけることにしています。

チビのおかげです。

もう一度元気なチビに会いたいな。

 

M.Ishiguro

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